【BL】お荷物くんの奮闘記
「……は?」


 大丈夫、大丈夫とリュータに笑顔で手を引かれ、段差の近くまで歩み寄る。見下ろしたそれは崖のようだ。段差とはいえ、人が飛び降りて無事でいられる高さではない。


「いやおまえはひょっとしたら大丈夫かもしんねえけどオレは無理だから明らかに! レベル一だから!」


「ユウジに怪我はさせないよ」


 逃げ腰になったところを押さえられ、リュータに軽々と横抱きに抱え上げられた。頼むから待ってくれとの言葉も聞き入れられず、リュータが段差に足をかける。


 あっあっ待ってマジで? ちょっと。やめ。うわあああああああああああああああ。


 年上のせめてものプライドで悲鳴を噛み締める。中学生の腕の中、ジェットコースターかってくらいの風が頬を叩いていく。だん、とものすごい衝撃が腕から伝わって目を開けると、リュータの足が地面に着いていた。


「ね、大丈夫だっただろ」


 リュータの腕から解放される。たたらを踏みかけたがなんとか尻餅はつかずに済んだ。


「……すげえ着地だったけど、おまえ足は大丈夫なのかよ」


「うん、平気だよ」


 じゃあ行こうと言って、リュータが家の方向に歩き出した。足首にも異常は無さそうである。
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