【BL】お荷物くんの奮闘記
幼い頃、自分は魔法使いだった。
小学校に上がったばかりのリュータは何をするにも自分のあとにくっついてきていて、そんな彼が昔から可愛くて仕方なかった。
リュータを家に招いた時、母親が見栄を張って出したマロウブルーティーの色を変えるのを目の前で実演してみせたところ、目を丸くして歓声を上げた小さな弟分をもっと驚かせたくなった。
知ったかぶりをするためだけに図書館に通って、本を読んで、父親のパソコンを使って調べたりもして、気付けばちょっとした雑学王になっていた。
原理がわかっている者にとってはなんということはないものごとのすべて、年下のリュータには奇跡を起こしたように見えたことだろう。
彼とよく一緒にゲームをするようになってからは、リュータの反射神経がおそろしく良いことや飲み込みが早い点に対抗できるように必ず攻略サイトを複数巡回し、プリントアウトして仕様を覚え込むことで彼よりも一歩先んじる努力をした。
そんな地道な日々の努力をリュータは知らなかったことだろう。
プレイデータを二人で分けてRPGのテレビゲームを進めている時、ふと彼から「魔法使い」だと称されたことがあった。操作キャラクターの名前を変更する時のことだ。
「デフォルトの名前でもいいけどさ、おまえのデータなんだから勇者の名前くらい「リュータ」にすれば?」
「そっか。セーブデータ読み込む時、ユウジのデータとわかんなくなっちゃうね」
「オレのは勇者「あたま」だけどな」
「なんであたま?」
「入力キーパッドがあ行、た行、ま行で並んでるだろ。てきとーに一列選択しただけ」
小学校に上がったばかりのリュータは何をするにも自分のあとにくっついてきていて、そんな彼が昔から可愛くて仕方なかった。
リュータを家に招いた時、母親が見栄を張って出したマロウブルーティーの色を変えるのを目の前で実演してみせたところ、目を丸くして歓声を上げた小さな弟分をもっと驚かせたくなった。
知ったかぶりをするためだけに図書館に通って、本を読んで、父親のパソコンを使って調べたりもして、気付けばちょっとした雑学王になっていた。
原理がわかっている者にとってはなんということはないものごとのすべて、年下のリュータには奇跡を起こしたように見えたことだろう。
彼とよく一緒にゲームをするようになってからは、リュータの反射神経がおそろしく良いことや飲み込みが早い点に対抗できるように必ず攻略サイトを複数巡回し、プリントアウトして仕様を覚え込むことで彼よりも一歩先んじる努力をした。
そんな地道な日々の努力をリュータは知らなかったことだろう。
プレイデータを二人で分けてRPGのテレビゲームを進めている時、ふと彼から「魔法使い」だと称されたことがあった。操作キャラクターの名前を変更する時のことだ。
「デフォルトの名前でもいいけどさ、おまえのデータなんだから勇者の名前くらい「リュータ」にすれば?」
「そっか。セーブデータ読み込む時、ユウジのデータとわかんなくなっちゃうね」
「オレのは勇者「あたま」だけどな」
「なんであたま?」
「入力キーパッドがあ行、た行、ま行で並んでるだろ。てきとーに一列選択しただけ」