【BL】お荷物くんの奮闘記
「「ユウ」に、しなくていいのか」
リュータが目を見開いた。けれどすぐに表情は和らいで、彼は小さく首を振る。
「ユウじゃないよ」
記憶の中に、こんなシーンはなかった。自分の脳みそが勝手に生成しているのであろう九歳のリュータは、コントローラーから手を離してそっとこちらの手に右手を重ねてきた。
「ユウジ、でいいんだ。……ううん、ユウジがいい」
「……深層心理って怖えな」
妄想の産物でしかない九歳児相手に微笑まれただけで、たまらなくなる。
胸が痛むのは十中八九罪悪感が原因だ。
ユウじゃなくて、ユウジがいい。――選ばれる自信も根拠もどこにも見あたらないから、彼に言ってみてほしかっただけだ。
「ユウジ」
「ん」
「おれはリュータだよ」
「知ってる」
「ウリエルじゃないよ」
「……知ってる」
ウリエルは、ユウのものだ。どうあがいても自分の入り込む隙などない。だからこうして未練がましく夢で描いているのは思い出の中の「リュータ」で。
「ユウジも、ユウじゃないよ」
「それを、……おまえが言うのか」
言わせているのは自分の深層心理。分かっていて彼を責めるような口振りになってしまう。
「帰ろう。一緒に。おれ、このゲームの続きが知りたいよ」
「リュータ?」
「結局、魔王は倒さないままだったよね。ユウジのデータも、おれのデータも。……帰ったら三スロット目のセーブデータ使って、最初から始めよう」
「帰るって」
「おれね。旅も、ゲームも、ユウジと一緒じゃなきゃやだよ」
リュータが目を見開いた。けれどすぐに表情は和らいで、彼は小さく首を振る。
「ユウじゃないよ」
記憶の中に、こんなシーンはなかった。自分の脳みそが勝手に生成しているのであろう九歳のリュータは、コントローラーから手を離してそっとこちらの手に右手を重ねてきた。
「ユウジ、でいいんだ。……ううん、ユウジがいい」
「……深層心理って怖えな」
妄想の産物でしかない九歳児相手に微笑まれただけで、たまらなくなる。
胸が痛むのは十中八九罪悪感が原因だ。
ユウじゃなくて、ユウジがいい。――選ばれる自信も根拠もどこにも見あたらないから、彼に言ってみてほしかっただけだ。
「ユウジ」
「ん」
「おれはリュータだよ」
「知ってる」
「ウリエルじゃないよ」
「……知ってる」
ウリエルは、ユウのものだ。どうあがいても自分の入り込む隙などない。だからこうして未練がましく夢で描いているのは思い出の中の「リュータ」で。
「ユウジも、ユウじゃないよ」
「それを、……おまえが言うのか」
言わせているのは自分の深層心理。分かっていて彼を責めるような口振りになってしまう。
「帰ろう。一緒に。おれ、このゲームの続きが知りたいよ」
「リュータ?」
「結局、魔王は倒さないままだったよね。ユウジのデータも、おれのデータも。……帰ったら三スロット目のセーブデータ使って、最初から始めよう」
「帰るって」
「おれね。旅も、ゲームも、ユウジと一緒じゃなきゃやだよ」