【BL】お荷物くんの奮闘記
 ノアに属性攻撃が向けられ、ほとんどダメージを受けずにやり過ごしたのを確認して、もう一度声を上げる。


「次の攻撃は弱い、全員で反撃だ!」


 言いつつ、この場にいるのがゲーマー仲間なら「次一タゲ」「オレ受ける」「全タゲ前にダウン取ろう」「ぶっぱいくわ」で通じるのになと苦笑いする。

まるで突然指揮官にでもなったような号令が、やってて自分でちょっと恥ずかしい。

が、リュータはともかくヴェルターやノアにはこうでもしないと通じないのである。仕方ないと割り切って、この場は指揮官でいようと思う。


 三人が攻撃に集中している三回目、自分はバフがけの準備を始めた。次の四回目でバフ消しが来るからだ。

被ダメは無いが、六回目に来る攻撃が痛いので防御力上昇エンチャントの類はかけなおしが必須である。


 パターン通り、四回目に繰り出されたのはバフ消しだった。直後にバフがけをし直して、スマホを確認する。天使のHP残量はもう少しであと半分になるようだ。


「今度は防御しても固定で大ダメージ食らうぞ! すぐ回復させるから攻撃続行で頼む!」


 攻撃モーションに入ってからタメが五秒。

自分は間違いなく吹っ飛ばされるので、食らった直後に全体回復魔法を重ね掛けしなければならない。術の構成を準備しつつ、五秒が経過する瞬間を狙う。
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