【BL】お荷物くんの奮闘記
腕輪を二、三度叩いてみる。
返答がない。
この空間の仕様か何かで、最初にここに入った者以外は動けなくなるようにでもなっているのだろうか。もう一度手首を振って呼びかけてみる。
「師匠、聞こえてるかー」
手首から腕輪が抜け、足下に転がった。
「……外れた?」
今まで何度も外そうとして外れなかったプライバシー侵害そのものな腕輪がひとりでに落ちるとは。腕輪を拾い上げる。
「よう、不肖の弟子。この伝言はおまえさんに残りの記憶すべてを渡すために保存しといたもんだ、ありがたく受け取れよ」
普段通りミニチュア師匠が腕輪の上に現れて安堵したのも束の間、それが本人ではないことに気が付いてしまった。
「伝言? 師匠、おい何」
「この腕輪に付与していた魔法は、擬似的に魔王継承システムを再現するのが目的だった。
情報の受け渡しが完全に終われば、オレ様の役目は終わりだ。
正直もうこの「ユウの影」の思考や感情なんてもんを維持するだけのスペース残ってねえからあとはてきとーに棄てといてくれ」
オレを起動させたのがおまえでよかったよ。楽しかったぜ元気でな。
ありふれた今生の別れの台詞に、言葉が出てこない。
「伝言の再生中にもう一回腕輪を装備すれば、残りの情報も引き込めるようになってるぜ。
東国の呪いを一時的に無効化する方法もちゃんと追加で記録してある。心配すんな」
それだけ告げて、伝言の再生は終了する。
再び腕輪を振ってみると、同じメッセージが最初から繰り返された。
返答がない。
この空間の仕様か何かで、最初にここに入った者以外は動けなくなるようにでもなっているのだろうか。もう一度手首を振って呼びかけてみる。
「師匠、聞こえてるかー」
手首から腕輪が抜け、足下に転がった。
「……外れた?」
今まで何度も外そうとして外れなかったプライバシー侵害そのものな腕輪がひとりでに落ちるとは。腕輪を拾い上げる。
「よう、不肖の弟子。この伝言はおまえさんに残りの記憶すべてを渡すために保存しといたもんだ、ありがたく受け取れよ」
普段通りミニチュア師匠が腕輪の上に現れて安堵したのも束の間、それが本人ではないことに気が付いてしまった。
「伝言? 師匠、おい何」
「この腕輪に付与していた魔法は、擬似的に魔王継承システムを再現するのが目的だった。
情報の受け渡しが完全に終われば、オレ様の役目は終わりだ。
正直もうこの「ユウの影」の思考や感情なんてもんを維持するだけのスペース残ってねえからあとはてきとーに棄てといてくれ」
オレを起動させたのがおまえでよかったよ。楽しかったぜ元気でな。
ありふれた今生の別れの台詞に、言葉が出てこない。
「伝言の再生中にもう一回腕輪を装備すれば、残りの情報も引き込めるようになってるぜ。
東国の呪いを一時的に無効化する方法もちゃんと追加で記録してある。心配すんな」
それだけ告げて、伝言の再生は終了する。
再び腕輪を振ってみると、同じメッセージが最初から繰り返された。