【BL】お荷物くんの奮闘記
 翌朝、リュータとともに王都に向けて村を発つ。勇者の剣よりも白亜の剣の方が攻撃力が上だったこともあって、せっかく入手した勇者の剣はリュータに一度も装備すらされずただのお荷物だ。ドロップアイテムがシナリオ上の剣よりも強いとは、ひょっとしてあの裏ボス、実はやり込み勢向けのボスだったんだろうか。


 現状リュータしか戦闘要員が居ない二名パーティである。お荷物となった勇者の剣は自分が担いでいく他無い。勇者の剣を勇者ではない人間が紐で背中に吊るして、再び草原を進む。もしかしなくともお荷物は自分である。


「ユウジ、今マップどのあたり?」


「フィールドマップ上では、今半分の地点だな」


 スマホの機能に頼りっぱなしのナビゲーター役ではあるが、いつまでもこのままで居るつもりは無い。使えるものは全て使って一刻も早く戦闘要員に加わる。年上の意地である。


「そういえば、村で面白い話聞いたぞ」


「面白い話? おれ難しいのはわかんないよ」


「今から行く南の王都には、聖教会っていうのがあるらしいんだが」


 隣を歩くリュータは早速難しい顔で首を傾げている。


「そこで伝えられている話だと、世界は大昔、神の使いによって作り変えられたんだと。一度全てを無にしてそこに理想の世界を作り上げたとかなんとか」


「……いかにもファンタジーな話だね」


「どこまで事実かは知らねえけどな。現実世界でも歴史は繰り返されているとか、大昔の核戦争とか、諸説あるし」
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