【BL】お荷物くんの奮闘記
「あー、まとめて一番大きい額の硬貨に全部換えてください」


「かしこまりました。少々お待ちください」


 さらに待たされて数分。山積みからは幾ばくか減ったが、それでも持ち歩ける量ではない。


「えー……えーっと、じゃあ、このギルドで消耗品買います。ちょっと預かってもらってていいですか」


 幸いにも、回復薬や戦闘補助アイテムが隣の受付で販売されていた。


 魔力のない者でも魔法を一度だけ使用できるマジックスクロールと回復薬一式を買い占め、所持金はどうにか持てる量にはなった。とはいえ、殴れば人が殺せそうな重たさの硬貨袋が出来上がってしまっている。紙幣はねえのかよ紙幣は。


「……金くっそ重てえ」


「ご、ごめん……。おれ、持とうか」


「おまえは戦闘。オレが戦えるようになったら半分ずつな。どのみち外じゃおまえ手空いてねえとやばいんだから、今だけ持ったって一緒だろ」


「うん……」


 回復薬が瓶詰めではなく粉薬タイプでよかった。購入した商品の方が硬貨よりかさばるのでは意味が無い。


「とりあえず次は宿借りて荷物置く。装備品もちゃんと見ておいた方がいいだろ」
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