【BL】お荷物くんの奮闘記
彼女は、この世界よりも現実世界よりもさらに上位に存在する世界の住人とおぼしきもの。たとえるなら四次元や五次元といった、自分たちには正確な定義や証明の不可能な世界に居る存在なのだ。
「廃棄も視野に入れ、検討のためにこちらへアクセスしました」
媒体を手にした上位次元の存在による、媒体ごとの廃棄処分を、下位次元の存在が覆すことはできない。
こんな、宇宙の果てにロケットでたどり着けても知り得ないようなことを、この場で知らされることになるとは思いもしなかった。
「おかえりなさいな、愛し子ウリエル。
そこの個体――渡部勇次が惜しいのならば、あなたのために専用の箱庭を作ってあげましょう。
その渡部勇次だけを飼い、上次元から管理し、永遠に自分だけのものにできる小さな世界を与えましょう。
私にも、執着という感情は理解できます。あなただけを連れて、渡部勇次と引き離そうなどとはもう考えません」
リュータは――ウリエルは、本来“あちら側”の存在なのだ。
支配されるだけの自分たちとは違って。
生産されるという意味合いでは彼もまた、彼女らの手の内ではあるのだろうけれど、意思さえ認めてもらえない自分たちとは別格の存在。
自分たちが管理者によってかんたんに削除されてしまいかねない「パソコンの中に保存された画像データのうちの一枚」だとしたら、ウリエルは彼女たちによって作られパソコンの製造・管理を任されたロボットというところだろうか。
「廃棄も視野に入れ、検討のためにこちらへアクセスしました」
媒体を手にした上位次元の存在による、媒体ごとの廃棄処分を、下位次元の存在が覆すことはできない。
こんな、宇宙の果てにロケットでたどり着けても知り得ないようなことを、この場で知らされることになるとは思いもしなかった。
「おかえりなさいな、愛し子ウリエル。
そこの個体――渡部勇次が惜しいのならば、あなたのために専用の箱庭を作ってあげましょう。
その渡部勇次だけを飼い、上次元から管理し、永遠に自分だけのものにできる小さな世界を与えましょう。
私にも、執着という感情は理解できます。あなただけを連れて、渡部勇次と引き離そうなどとはもう考えません」
リュータは――ウリエルは、本来“あちら側”の存在なのだ。
支配されるだけの自分たちとは違って。
生産されるという意味合いでは彼もまた、彼女らの手の内ではあるのだろうけれど、意思さえ認めてもらえない自分たちとは別格の存在。
自分たちが管理者によってかんたんに削除されてしまいかねない「パソコンの中に保存された画像データのうちの一枚」だとしたら、ウリエルは彼女たちによって作られパソコンの製造・管理を任されたロボットというところだろうか。