【BL】お荷物くんの奮闘記
ふと、彼はウリエルとしてあちら側に居た方がいいんじゃないかという考えが脳裏を過ぎる。
存在の不確かなものは、彼ではなく自分だったのだ。居場所が不安定なのも、ずっと。
いつ破かれたり、処分されたりするやも知れないこの場所に居るより、彼女の元についた方が、リュータは安全なんじゃないのか。
「確かに、ユウジのことは大切だけど――おれは、ユウジだけが欲しいんじゃない」
あちら側に帰れと口をついて出そうになった、その時、リュータが反論した。
「ユウジが悲しいのも苦しいのも嫌なんだ。
ユウジを、昔のおれみたいに、ユウの時みたいに、おれのせいで、ひとりぼっちにさせるのはもっと……いやだ」
ここで誘いを拒絶してしまえば、きっと彼女らはウリエルごと処分しようとするだろう。
けれど、それは本能で分かっているだろうにリュータの言葉には迷いなどなかった。
「おれはウリエルじゃない。天城竜太だ。おれの幸せは、ユウジが笑っていられる世界で、一緒に笑うことだから」
――だから、マム。あなたのところへは二度と、帰らない。
静かに言い切った彼の言葉で、頭を支配しかけていた呪縛が解けた。
彼が天使でも、どんな存在であっても、リュータはリュータだと元気づけてやったのは自分の方だ。彼となら一緒に死んでも構わないと言ったのも自分の方だ。
彼が同じことを口にしたなら、それを否定するわけにはいかない。
存在の不確かなものは、彼ではなく自分だったのだ。居場所が不安定なのも、ずっと。
いつ破かれたり、処分されたりするやも知れないこの場所に居るより、彼女の元についた方が、リュータは安全なんじゃないのか。
「確かに、ユウジのことは大切だけど――おれは、ユウジだけが欲しいんじゃない」
あちら側に帰れと口をついて出そうになった、その時、リュータが反論した。
「ユウジが悲しいのも苦しいのも嫌なんだ。
ユウジを、昔のおれみたいに、ユウの時みたいに、おれのせいで、ひとりぼっちにさせるのはもっと……いやだ」
ここで誘いを拒絶してしまえば、きっと彼女らはウリエルごと処分しようとするだろう。
けれど、それは本能で分かっているだろうにリュータの言葉には迷いなどなかった。
「おれはウリエルじゃない。天城竜太だ。おれの幸せは、ユウジが笑っていられる世界で、一緒に笑うことだから」
――だから、マム。あなたのところへは二度と、帰らない。
静かに言い切った彼の言葉で、頭を支配しかけていた呪縛が解けた。
彼が天使でも、どんな存在であっても、リュータはリュータだと元気づけてやったのは自分の方だ。彼となら一緒に死んでも構わないと言ったのも自分の方だ。
彼が同じことを口にしたなら、それを否定するわけにはいかない。