【BL】お荷物くんの奮闘記
忘れるところだった。彼を守りたいという自分のエゴで、彼の意思そのものを。
「そうですか。……では、プログラム通りに動かないデータは削除して、一から作り直すことにしましょう」
マムが肩を竦めるような仕草を見せて、目の前に無数の小さな白い火球を生み出した。渦と同じ色のそれはおそらくは攻撃魔法だ。
HP、MPに関わらず一発でも当たったら即死――というより、口振りからして存在自体なかったことにされてしまいそうである。
案の定こちらに向かって飛んできた火球を左右に避ける。
管理フロアの内部は暗闇に包まれていて、着弾箇所にいったい何があったのか、当たった部分は消滅したのかどうかも分からない。
「絶対、守るから」
リュータがぼそりと呟いた。
なら、おまえのことはオレが守ってやる。なんて口に出して言えるほど強くはないけれど。
せめてお荷物はお荷物らしく、彼の足場を固定してやろう。
ただ重たいだけのお荷物でも、彼を引き留めるだけの重石には、なれたのだから。
「リュータ」
服のポケットの中で、師匠からの最後のプレゼントに手を触れる。
師匠が敢えて魔王に引き継がせなかった、いわくつきの安っぽい腕輪。師匠のすべてを引き継いで、二人分の知識と二人分の考察が、何か武器にならないだろうか。
「そうですか。……では、プログラム通りに動かないデータは削除して、一から作り直すことにしましょう」
マムが肩を竦めるような仕草を見せて、目の前に無数の小さな白い火球を生み出した。渦と同じ色のそれはおそらくは攻撃魔法だ。
HP、MPに関わらず一発でも当たったら即死――というより、口振りからして存在自体なかったことにされてしまいそうである。
案の定こちらに向かって飛んできた火球を左右に避ける。
管理フロアの内部は暗闇に包まれていて、着弾箇所にいったい何があったのか、当たった部分は消滅したのかどうかも分からない。
「絶対、守るから」
リュータがぼそりと呟いた。
なら、おまえのことはオレが守ってやる。なんて口に出して言えるほど強くはないけれど。
せめてお荷物はお荷物らしく、彼の足場を固定してやろう。
ただ重たいだけのお荷物でも、彼を引き留めるだけの重石には、なれたのだから。
「リュータ」
服のポケットの中で、師匠からの最後のプレゼントに手を触れる。
師匠が敢えて魔王に引き継がせなかった、いわくつきの安っぽい腕輪。師匠のすべてを引き継いで、二人分の知識と二人分の考察が、何か武器にならないだろうか。