【BL】お荷物くんの奮闘記
「話聞く限りじゃレツのせいだし、気にすんな。クッキーも気に入ったんならまた作ってやるからさ」


 肩を落としてごめんなさいする年下の恋人がこうも可愛いと、まあ今回は許してやろうという気になってくる。「まあ今回は」をもう何度繰り返したか定かではない。

惚れた方が負けとはよく言ったものだ。カインによる早期収束のおかげで、城のダメージ的にはまだましな方である。


 レツの方がやけに静かになったなと、リュータの頭を撫でてやりながら横目に確認する。確認して、……そっと見なかったことにした。


「ちょっと部屋で話そうぜ」


 リュータは気付いていないようなので、彼を振り返らせずにうまくその場で踵を返す。教育に悪影響を及ぼしそうなものは見せないに限る。カイン、おまえの尊い犠牲は忘れない。


 魔王城にお邪魔することになって、用意してもらったのは自分とリュータそれぞれの部屋だ。

夜はしょっちゅうリュータが遊びに来てそのまま眠ってしまうため、彼の部屋はほぼ使われておらず少ない物置になっている。


 あちらがR18に発展しそうな気配を察知して、自分の部屋までどうにか無事にリュータを避難させることには成功したが、見ればリュータはいつになく青ざめている。


「どうした?」


「お、お説教? それとも、もう愛想尽かした……?」
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