【BL】お荷物くんの奮闘記
「大丈夫? 顔、赤いよ」


 風邪でも引いているのかと本気で心配している表情だ。のけぞりかけて、いっそ直接訊いてみた方がいいかもしれないと思い直す。


「……リュータ」


「なに?」


「おまえさ、ここがどこだか分かってるか」


「え? えっと、ユウジの部屋だよね」


「ベッドだな」


「うん」


「特に明日予定無いよな?」


「うん」


「で、……両思いなんだろ。オレたち」


「えへへへ」


 溶けるかってくらいのふやけた幸せそうな笑顔になった。いや違う。

両思いが嬉しいと思ってくれているのはこちらもなにやら甘酸っぱい気分になってくるが、今回訊きたいのはそこじゃない。

リュータの方は学生らしい幼い恋愛で満足かもしれないが、こちとら毎晩毎晩枕持参で遊びにやってきてはすがすがしい笑顔でおやすみなさいされるのが苦痛でならないのだ。


「意識してんの、オレだけか?」


「いしき」


「……好きなやつとベッドで二人きり。明日はとくに予定なし。この状況でおまえよく無邪気にふにゃふにゃ笑ってられるな。

オレはおまえが夜来るたびその……毎回、する、のかと思ってだな、風呂で、い、色々」


 あれ自分今なにぶっちゃけてるんだろ。明らかに言わなくていいことまで口を滑らせているような。
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