【BL】お荷物くんの奮闘記
「あの、えっと、ユウジ」


「うああああ忘れろ今すぐ忘れろ頑張って前向健忘症になれ」


「ぜんこ……?」


 現代に戻った時にちゃんと同性同士のあれそれの動画を見て勉強して、うわこういうことすんのかよ大丈夫かオレ、とか葛藤しつつも通販で必要そうなものを一通り用意してこちらに持参してきた自分の身にもなってほしいものである。

ついでに言うと彼に痛い思いはさせたくないと自分が下になるつもりでちょっとずつ開発あああなんでもない。


 穴に埋まりたい。今すぐ穴に埋まりたい。

なんだよこれじゃあレツたちのアレに触発されて部屋に連れ込んだみたいになるじゃないか。

言わなきゃよかった。あふたーふぇすた。後の祭りである。


 今なら顔面から大火球が生成できる気がする。リュータおまえも無言で固まるの勘弁してくれ。いたたまれない。


「ユウジ」


「……はい」


「あのね、嫌だったら言ってね」


「なに、が」


 真剣な目で見上げられて、動けなくなる。

乾いた喉からどうにか搾り出した言葉に、リュータが小さく頷いた。


「その、きす、してもい」


 そうだよなおまえの恋愛ってまだそこだよな知ってたよ。知ってたよ。


 ちょっとでも期待した自分が馬鹿だった。

溜め息とともに緊張は解けて、それから笑いがこみ上げてくる。


「そんなの、いちいち訊かなくていい」




END.
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