【BL】お荷物くんの奮闘記
けれど、夢の中の夢――先ほど眠っている間に見た夢は、たとえ自分の深層心理が作り出した映像だったとしても不快なものであることに変わりは無かった。
傷だらけで倒れた彼を抱いて、動かなくなった心臓に額を寄せて絶望する夢。腕の中、事切れた瞬間に体が重くなる。あまりにリアルすぎる感触が今でも脳裏にこびりついていて、胸糞悪いなんてものじゃない。
「いいけどよ。使うんじゃねえぞ」
「分かってるって。どうせリュータが戦ってくれるたび自動レベルアップすんだから、無理して低レベルで使うつもりなんてねえよ」
彼は強い。自分の倍以上の高レベルだ。彼が夢のような状況に陥ったとすれば、その時点で既に自分は敵にやられて戦闘不能になっている。
自分だけ取り残されることは有り得ない。そうやって自身に言い聞かせてやっと保っているいつもの自分で、手のひらの上で目を細める師匠に笑みを見せる。
「ついでに、不肖の弟子にひとつ教えといてやる」
師匠が明後日の方向を見つめて、ぽつぽつと言葉を紡いだ。
「常に最悪を考えて動け。リュータが頭使って戦えると思うか。おまえさんの役割は相棒にレベルで追いつくことでも、あいつみたいに力技で切り抜ける方法に慣れることでもねえ。
失いたくねえなら、冷静に、あいつに足りない部分を補ってやれ。判断を下す時は感情も捨てていい。あいつを最優先にできるんなら、な」
おまえさんがあいつの頭脳になってやるんだ。いつになく真剣なその声が、あの夢の映像と一緒にいつまでも耳に残った。
傷だらけで倒れた彼を抱いて、動かなくなった心臓に額を寄せて絶望する夢。腕の中、事切れた瞬間に体が重くなる。あまりにリアルすぎる感触が今でも脳裏にこびりついていて、胸糞悪いなんてものじゃない。
「いいけどよ。使うんじゃねえぞ」
「分かってるって。どうせリュータが戦ってくれるたび自動レベルアップすんだから、無理して低レベルで使うつもりなんてねえよ」
彼は強い。自分の倍以上の高レベルだ。彼が夢のような状況に陥ったとすれば、その時点で既に自分は敵にやられて戦闘不能になっている。
自分だけ取り残されることは有り得ない。そうやって自身に言い聞かせてやっと保っているいつもの自分で、手のひらの上で目を細める師匠に笑みを見せる。
「ついでに、不肖の弟子にひとつ教えといてやる」
師匠が明後日の方向を見つめて、ぽつぽつと言葉を紡いだ。
「常に最悪を考えて動け。リュータが頭使って戦えると思うか。おまえさんの役割は相棒にレベルで追いつくことでも、あいつみたいに力技で切り抜ける方法に慣れることでもねえ。
失いたくねえなら、冷静に、あいつに足りない部分を補ってやれ。判断を下す時は感情も捨てていい。あいつを最優先にできるんなら、な」
おまえさんがあいつの頭脳になってやるんだ。いつになく真剣なその声が、あの夢の映像と一緒にいつまでも耳に残った。