【BL】お荷物くんの奮闘記
中央都市は港町に比べて人間の人口が多い。翌朝買い出しのためリュータと外出し、既に活気付いている町並みの中を人にぶつからないよう間を縫うように歩く。
ここまで、ろくに落ち着ける場所がなかった。自分は最初の鉱山の村人から貰った最低限の防具を私服の上に身につけているが、リュータは相変わらず真っ黒な学ランに白亜の剣のみなのである。
装備の見直しと携帯食料の購入、それから指名手配事件のせいで買いそびれた荷物収納オーブも、この街で見つけられれば入手しておきたい。
リュータには宿に留守番を頼もうとしたが、凄い剣幕で反対されてしまった。指名手配事件の際のトラウマなのか何なのか、自分は一人では買い物にも行かせてもらえないらしい。
ならばと徹底的に荷物持ちをやらせているが、レベル補正なのか勇者補正なのか、中学生としては有り得ない腕力で難なく荷物を抱え込んでいる。横目に覗き見た額には汗ひとつない。
「ユウジ、次は?」
買い物メモをいつまで経っても電池の減らないスマホに記入していたのを知っているリュータが、抱えた荷物越しにこちらの手元を見ようと背伸びする。
次は雑貨屋だ、と返そうとして、前方に知った顔を見つけて思わず足が止まる。
「げっ」
「なに?」
こちらに合わせて歩みを止め、リュータは首を傾げた。