【BL】お荷物くんの奮闘記
「おい、誰か村長呼んでこい!」


 男の一声で、平和な雰囲気に包まれていた田舎町が急にテロの襲撃にでも遭ったかのごとく騒然となった。


 声掛けるキャラ間違えただろうか。いかにもイベントが進行しそうなキャラへの声掛けは後回しに、家捜しや他の住民への声掛けから始めるのが常の自分は少しばかり後悔した。てかそれならそうとイベント進行しそうなキャラっぽくしてくれよ頼むから。自分の脳みそが作っていると思われる夢に文句を言っても仕方ないといえば仕方ない。


 それからまもなくして、声を掛けた男と村長らしき人物に出迎えられ、村長の自宅に案内された。イベント発生前の村の様子をチェックできなかったのは惜しいが、後の祭りである。次からは見逃すまいと村長の話に耳を傾ける。


「して、ご用件は?」


「ご用件っていうか、オレここ来たばっかだから色々教えてもらいたいだけなんだけどよ」


 村長の外見は普通の老人というより、某フォースで戦うSF映画の彼のように小柄な魔人風だった。よくよく見れば、この町の住民は人間ではなく魔族っぽい見た目をしている。


「いえ。純粋な人間の方がこのような場所にいらっしゃること自体ありえないことでございます。観光であれば、こちらより西の炭坑の方が人口も多く宿泊施設も充実しておりましょう」


「えーと」
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