両片想

私はあの後結局日が暮れるまで待った。
でもチェリーボーイが現れることはなくて。

家までの帰路を1人で寂しく、今日チェリーボーイと見る予定だった映画のチケットを握りしめながら、帰った。

「やっと帰って来た! 今、チェリーくんの親御さんから電話があって……」








チェリーくんが、急性心筋梗塞で倒れて病院に緊急搬送されたって……!


私はバスに乗って、降りて、走った。走った。

「さくら! 」

お母さんから言われた救急病院に駆けつけると、そこにはおじさんとおばさんがいた。

「ち、ぇりーちゃん……? 」
「おばさん! さくらは! 」

力なく首を横に振るおばさん。
私はその場に崩れ落ちた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!! 」

さくら、さくら、さくら……!
置いてかないで。
なんでよ、ただの盲腸だったじゃん。
元気だったじゃん。
なに、急性心筋梗塞って。
ほんと意味わかんないよ……。
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