恋を知らない君を【完結】

「…お!連絡来たんじゃね?」
「!!!!!!」
ピロン,と音が鳴る。嘘!返ってきた!?
「ああああああ~~…お前じゃねえんだよ!!」
「え,なに,別の子?」
よく遊んでた女。今日クラブいかないか?いかねえよ一人でやってろ!
「返事遅えな~」
「…もうぜってえ返ってこない気がする」
「既読は?まだ?」
「まだつかない」
見てねえのかな~遊んでんのかな~今日金曜だもんな,遊んでるんだろうな。でもナッちゃん明日バイトっしょ?あんま遅くまで遊んでちゃ明日がきつくね?
悶々としながら脇に置いた携帯に視線を送り続けた。
「ハルがそんなに女の子にはまるのって初めてじゃね」
「そうかも…。なあんかな~なんか抱えてそうなんだよな」
「え,メンヘラ?メンヘラはやめとけって」
高校時代にメンヘラ女と付き合ってたこいつは渋い顔をした。メンヘラねえ…そういうんじゃねえんだけど
ピロン,また音が鳴った。
「おっ!今度こそ!?」
「はあ……」
どーせ違うだろ,そう思って開く。………!!!!!!!
「きた!!!!!!!」
「マジで!!!!!」
返事きた!マジか!え!ほんとにナッちゃん?ほんとにナッちゃんだ!うわあああああ!!!!
酔ってるからか,喜びも倍増だ。いやさっきのフェイントのおかげかもしれない。
「ともだちと,飲んでる…」
「ほうほう」
やっぱ遊びに行ってたのか。
「遊んでる最中に返事返ってくるなんて初めてなんだけど…泣きそう…」
いつもは,朝になってから「友達と遊んでた」とかって返ってくる。きっと人と一緒にいるときに携帯を見ないタイプなんだろう。なのに!今日は返ってきた!
「ななな,なんて返せばいいんだ…」
「お前マジかよ!?なんでそんなひよってんの!」
友人には爆笑されるが,そのくらい好きなんだ。いちいちなんて返そうか悩むのなんか初めてだし,嫌われたくないなんて女々しい思考になるのも初めてなんだよ!いいアドバイスしろよ!
「一緒に飲まね?とか」
「絶対返ってこなくなる。パス」
そうじゃねえんだよ。もうちょっとなんか下心なさそうな…でも好印象な返事ねえのか!
ピロン,また鳴った。
「!?!?」
「なに!なんて?」
「どうかしたの…だと…!?」
「おおお!」
ななななんだって!ナッちゃんから話を広げてくれるなんて!槍でも降るのか!?どんな顔してそんなこと言ってんの!顔が見たい…きっとなんでもない顔して打ってんだろうけど,もしかしたらふわっと緩んだ優しい目をしてるかもしれない。あああなんだそれ見たい。
「…俺嬉しすぎて死んでもいいかも」
「しっかりしろハル!まだ早いぞ!」

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