恋を知らない君を【完結】
ハルナツ④

ナッちゃんからの連絡は相変わらず多くない。返信の頻度は変わらない…気がする。俺の態度だって変わらないはずだ。だけどもうこれは間違いなくナッちゃんに片思いしてると思う。
連絡が返ってこないと寂しいし,返信があると心臓がバクバクしてどうにか会話を続けたいと思う。会いたすぎて夢にだって出てくるし,ナッちゃんを丁寧に丁寧に抱きつぶしてトロトロにするのが最近の妄想だ。こんなに完全に片思いしてんのめちゃくちゃ久しぶりじゃないか?っていうか初めてかもしれない。
「ハル!」
「よう」
これから友人と飲むっていうのに,携帯が気になって気になって仕方がない。はあ…
「どーした?なんか疲れてる?遊び行くか!」
「いや,クラブもバーも今日はいいや」
「じゃあキャバ?それとも抜きに行く?」
「そういうのもいらない。ってか話聞いて」
「マジ!?ハルのそんなのビビんだけど」
げらげら笑いながらも居酒屋で腰を据えて話を聞く体勢はとってくれる。良いダチだなあ
「最近出会った子がヤバくて」
「どーゆーヤバイ?」
「可愛くてたまんねえ。俺のもんにしたいと思うし,四六時中一緒にいたい」
「ギャハハハハハまじかよ!ハル?お前ほんとにハル?」
「マジなんだよ…」
「どこで出会ったん」
「クラブでナンパした」
「え~?そんな子相手にガチなん?」
「や,遊んでる子ではない。たまたまそん時初めてクラブ来たって言ってた」
「ふうん?ヤった?」
「ヤった」
「なんだよ!やることやってんじゃねえか!」
「そうなんだけどさあ~!」
でもするっと手のひらから逃げてくんだよ!どうすればいいかわかんねえの!
「まあ飲め飲め!レアなハルの姿にカンパーイ!」
「カンパーイ」
ほどほどに酔ってナッちゃんがいかに可愛いかを友人に喋った。
「でもなあ~返事が全然返ってこねえの!」
「それって脈なくね?」
「…そうかよ」
「拗ねんなよ!今連絡してみる?」
昨日の夜から連絡が途絶えてるのに?いまだに俺は既読無視で傷つくんだぞ?慣れることなんかねえんだぞ?
「ほら!行動してみる!」
「ウザがられねえかな…」
「そんな自信ないハル初めて見たんだけど!百戦錬磨百発百中の自信満々なハルはどこ行ったの!」
「うっせえ」
自信なんかあるか。暗に「好きになるな」って言われてんだぞ俺は!自信なんかねえよクソ!
「ほら~今何してんの?って送ってみ」
「ううう…」
返事が返ってきてほしいようなほしくないような。きっと返ってこないに決まってる。いつもそうだから。今回こそ返ってくるんじゃないかと期待するたびに既読無視に傷つく。もう嫌になってきた。
「何してる子なの」
「学生」
「え!年下!」
「土日はバイト,他のことはあんま知らない」
「大学?どこ?」
「知らね」
教えてくんねえもん。俺だって何度も聞いたさ。俺もこっちが地元だから大体どこの大学とかわかるし。でものらりくらりと躱される。そういう時に,ナッちゃんってこういうの躱すの慣れてるよなあ…と思ったりして辛くなる。
「あの子絶対モテるんだ~!!!!」
あの反応は人からの好意をよく知ってるからだ。絶妙すぎる。
「そんな可愛いの」
「めっちゃカワイイ。おめーには絶対見せない」
「なんだよ!いいじゃん3人でやろうぜ」
そう。こいつはいいやつだが3Pが好きなのだ。何度巻き込まれたことか。今までは気持ちよけりゃどうでもいいと思ってたけど,ナッちゃんはダメ,あ,でもあの子酷くされんの好きだから3Pとか意外に喜ぶかもしれない。でも他の男に見せたくない。うん。いくらナッちゃんが喜びそうだからって3Pは無理。

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