思い出屋さんのゆううつ
「でもいいねぇ、おばあちゃん。お電話しなくても、いつでもお話しできるんだもんねぇ」
ヨモギさんは寂しそうに首を横に振ります。
「ううん。おばあちゃんね、一番聞きたい人の声だけ忘れちゃったの。だからもう、おしゃべりできないのよ。変ねぇ。一度も聞いたことない人の声は出せるのにね」
「忘れちゃったの?」
「ええ。ただ……あたたかい、おひさまみたいな声だったことだけは覚えているわ」
「ふぅん……そうだよねぇ。自分とはおしゃべり、できないもんねぇ」
男の子の分かっているのか分かっていないのかよくわからない呟きに、ヨモギさんは思わず声を立てて笑ってしまいました。
ヨモギさんは寂しそうに首を横に振ります。
「ううん。おばあちゃんね、一番聞きたい人の声だけ忘れちゃったの。だからもう、おしゃべりできないのよ。変ねぇ。一度も聞いたことない人の声は出せるのにね」
「忘れちゃったの?」
「ええ。ただ……あたたかい、おひさまみたいな声だったことだけは覚えているわ」
「ふぅん……そうだよねぇ。自分とはおしゃべり、できないもんねぇ」
男の子の分かっているのか分かっていないのかよくわからない呟きに、ヨモギさんは思わず声を立てて笑ってしまいました。