思い出屋さんのゆううつ
こんがりときつね色のパンに、砂糖でできたピンク色の薔薇の飾りが乗っかっています。
一口かじると、中からバニラが香るカスタードが飛び出してきました。
思わず「美味しい」と呟いた時、後ろから声がかかります。
「あのう、思い出屋さんですか?」
小さな女の子でした。
その後ろには、若い男の人に子供を抱いた女の人……見知らぬ人がたくさんいます。
「この前お電話したちいちゃんだよ。おばあちゃん、あの時はありがとう」
僕は親友と、私は母と。
他の人もそれに続きます。
そう、ここにいるのはヨモギさんが思い出を売ったお客さん達だったのです。
「ずっと後悔と悲しさでいっぱいだったけど、おかげで少し笑顔になれました。ありがとう」
男の人の握手に、ヨモギさんはあっけにとられた顔で応じます。
全員との握手を終えると、みんなキラキラした笑顔を残して、人混みの中に消えていきました。
一口かじると、中からバニラが香るカスタードが飛び出してきました。
思わず「美味しい」と呟いた時、後ろから声がかかります。
「あのう、思い出屋さんですか?」
小さな女の子でした。
その後ろには、若い男の人に子供を抱いた女の人……見知らぬ人がたくさんいます。
「この前お電話したちいちゃんだよ。おばあちゃん、あの時はありがとう」
僕は親友と、私は母と。
他の人もそれに続きます。
そう、ここにいるのはヨモギさんが思い出を売ったお客さん達だったのです。
「ずっと後悔と悲しさでいっぱいだったけど、おかげで少し笑顔になれました。ありがとう」
男の人の握手に、ヨモギさんはあっけにとられた顔で応じます。
全員との握手を終えると、みんなキラキラした笑顔を残して、人混みの中に消えていきました。