スーゼントの怨霊
ハデスの命令に従い、砂ぼこりをたててハンター達の目をくらまし、音速を超える素早い速さで無力の子供と女に襲いかかった。
それはたてた砂ぼこりが完全に舞い上がるまでの数秒の早業。
フィヤンレキスの腕の刃物が九人の女の首をはね、八人の子供達の脳天に鉄製の串を刺して回った。
村からは誰も出さないと言っているかのように死体の山を作った。

魔神はハデスからの指示がない為、自らの意思でハンター達を蹴散らす。
砂ぼこりが収まりつつある中、スピードを落とさず、白い羽根を広げて突っ込んで行った。

首がへし折れて半回転して倒れている者がいれば、腹部が砕け散り、臓器が流れ出している者までいた。
「だから警告しただろう。凡人がいくら束になってかかってきても無駄なのさ。」
あざ笑うように隠れている村人達に話しかけた。
挑発に乗った二十歳の青年が隠れながらハデスを挑発する。
「お前は出てきてないじゃないか！弱虫！文句あるなら探しに来い！」
森の木陰に身を潜めている青年は言ってやったと満足感を味わった。
だが、満足感が絶望感に変わるまで一分もかからなかった。
< 32 / 84 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop