スーゼントの怨霊

「何故だ！何故、こんな事をするっ！」
喋ったつもりだが、声がでない。
妻が息子の自由を奪う事に苛立ち、助けたいのに銃を向けている無力さに涙を流した。
息子は初めてオヤジの涙を目にする。

その時、外から“ぎゃあああ！”と悲鳴が聞こえてきた。
オヤジがビクリと体を動かすと同時に力の制御がおろそかになって引き金を引いてしまった。
息子が最後に見たものは銃口から一つの弾が飛び出し、空気抵抗で弾が複数に別れて飛んでくる所だった。
散らばった弾は息子と窓を貫通していった。
崩れ落ちる息子と一緒に涙を流しながら床へ消えていく妻。
きっと守ろうとして抱きついたのだろうと思っていた時、割れた窓から一本の矢がオヤジの額に突き刺さり、後頭部から矢尻が突き抜けた。
一瞬の出来事だった。


残り十四人。