スーゼントの怨霊
他の家は二人一組で住んでいるのだが、この家では地下でぶどう酒を造っており、人手が必要な為、四人で暮らしている。
四十才以上の中年二人と三十代後半の中年、それに十五才の未成年。
この四人は常に働いていた。
酒造りを楽しむあまり、莫大な量の酒の入った酒樽が置かれている。
アルコール度数が五十五度もあるので作業中は特殊なマスクを装着しなければならない。


この日は未成年が風邪を引いて寝込んでいた。
中年三人は雑談をしながら楽しく酒を造っている。
「ちょっと、息子の様子見てくるよ。」
三十代後半の中年が作業を中断し、一階へ上がった。
「どうだ？調子は。」
返事をしない息子の額に手をやり、熱を計った。
「うわっ！」
ものすごい熱。
人間がこんなに熱くなるのかと思うほど熱い。

体温計など高価な物はこの村に存在しない。

中年はそのまま看病を続けた。
その内、いつの間にか寝てしまっていた。
起きてすぐ熱を計る。
さっきとは比べものにならないくらい下がっていた。
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表紙・目次

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