スーゼントの怨霊

サランガルガの牢獄

スーゼントの裏山にあるサランガルガの牢獄にハデスはいた。

昔、スーゼントの森を抜けた所にもう一つの村、ユットゥルンがあった。
そこにはシュリバという種族のみが住んでいた。
彼らは猛獣の生皮をまとい、スーゼントの食料や女を奪って生計をたてていた。
ここ、サランガルガの牢獄はスーゼントに現れたシュリバ達を閉じ込める場所だった。
今はシュリバを全滅させた為、使われていない。
死体や血痕などないのに異臭が漂っている最悪の場所。

ハデスは一人、うずくまって泣いていた。
だが、いくら泣いても誰も来ないし、声も届かない。
みんな恐れて近寄ろうともしなかった。

陽は沈み、月がハデスを照らす。
恐怖と絶望がハデスを襲う。
「クソ。アイツらこんな所に閉じ込めやがって…絶対許さない。みんな死んでしまえ。」
心の底から怨んだ。

次の日から朝と夕方に食事が運ばれてきた。
パンとスープだけだったがハデスは飛び付いた。
シュリバ達には食事を与えなかった話を聞いたことがある。
それでもハデスの怨みは深かった。
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表紙・目次

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