スーゼントの怨霊
十七才の少年は体調を崩して寝込んでいた。
徹夜で看病をする二十四才の兄。
この日はやけに熱が高かった。

コツコツ…
階段を上ってくる音に目を覚ました兄は弟の容態を確認する。
寝てしまっていた間に熱は少し下がっていた。
「よかった~。」
安心した時、何気なくあの足音を思い出した。
「そう言えば足音してたなぁ?」
重い足取りでゆっくりと階段に近づき、下を見下ろした。
当然、誰もいない。
夢だと思い込み、階段に背を向けると、コツコツ音がする。
「誰かいるのか?」
振り返って階段を覗きこんだ。
ぎゃあああ!
外から聞こえた悲鳴でビックリし、落ちそうになった体を階段の手すりを掴んで足を移動させる。
「させないよ~」
耳元で何者かが呟き、奇声をあげながら床を叩き割り始めた。
足元には大きな穴が口を開けている。
「あれ?下が見えない!」
穴の底に一階の床が見えるはずなのだが、闇に覆われていた。
「何なんだ!これは!」

熱が下がった少年は兄の声で目が覚めた。
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