スーゼントの怨霊
「兄ちゃん?」
少年はふらつきながら階段の方へ歩み寄る。
「来るなっ!」
ダーンッ!
兄の声と同時に散弾銃の音が聞こえてきた。
少年には何が起こっているのか見当もつかない。
止めた足を再び兄の方へと進めた。
「何してるんだ?」
兄は階段に座り込み、手すりを持って慌てている。
少年はいつものようにおちゃらけていると思い、ベッドへ戻って行った。
布団のなま暖かさが心地よく、すぐに眠れそうな気がしてくる。
だが、さっきから部屋のあちこちから視線を感じる。
少年は迷っていた。
見てはいけないモノではないか、それとも夢の中で視線を感じているのか…。
少年は夢だと判断して視線を感じる箇所全てに目を向けた。
「えっ…」
恐怖のあまり声が出ない。
部屋のいたる所から女の人が覗いており、顔は全て一緒だった。
窓の奴は隠れもせずにこっちを見ている。
「もう、止めてよ!」
少年は怖くなって布団で全身を覆う。
視線を放つ女は徐々に近づいてくる。
複数の足音や窓を開ける音がとてつもなく怖い。
精神的に滅入ってしまいそうになる。
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