スーゼントの怨霊
距離があり、鎌をナイフで砕くなど出来るはずがない。
村人を傷つけずに死神を討ち落とすには顔にヒットさせなければいけなかった。
宙を自由自在に動く相手には慣れていたが、顔だけという最小の標的は初めてだった。
ミスれば村人も苦しんで消滅してしまう。
投げられたナイフは風を切り、ぐんぐんと標的へと向かっていく。
ナイフに当てる為、避けれるような単発のレーザー光線で誘導した。
ビュシュッ!
手応えある音が響きわたり、死神は逆さに墜ちてくる途中で煙となって消えていった。
「それで勝ったつもりか?」
ピシュッ!
背後からハデスが話しかけ、振り向いた時には手遅れだった。
最後の一人である中年男は首を斬られ、ガタガタ震えて倒れた。
ハデスは笑いながら刀に付着した血を振り払う。
ナムは誰も助けられなかった事で自暴自棄に陥り、ナイフをハデスめがけて何十本も投げ、その隙に刀で斬り込んだ。
強力な銃を持っていることや、牢獄にある剣の事など忘れ去っていた。
今はただハデスに苦痛を味あわせたい。
それだけだった。
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