メテオ
「…星波?」


暗闇から聞こえた声。


暗くて、顔もわからない。


なのに、誰なのかわかる。


粋月くんだ。


こんなときに限って会うなんて…。


「粋月くんだよね。」


私もそう言いながら、少し濡れた目をこする。


「そうそう、お前こんな遅くにどこ行くんだよ?コンビニ?」


「家だって。さっきまでバイトしてたの。粋月くんは?」


聞き返すと、何も言わず足音だけが聞こえてきた。


真っ暗な住宅街に、近づく足音だけが響き渡る。


足音が大きくなるにつれ、つられて大きくなる私の心臓の音。


そして、ついに顔が見える距離まで近づいた。


ジャージを着た粋月くんは、白い歯を見せて笑っている。


変わらないや。


あの夏の日と変わらない笑顔が、少しだけ私を安心させる。


手には財布とスマホを握りしめて、相変わらず軽装備だ。


「あ~、お疲れ!俺は妹がお菓子欲しいって聞かなくさ。それでコンビニ向かうところ。」


そう言って、照れくさそうに財布を見せた。


そういえば、年の離れた妹がいるって友だちが言ってたっけ?

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