メテオ
「へ~、お兄ちゃんしてるね~。」


「からかうなよ。」


私がからかうと、粋月くんは少し照れたように笑った。


まるであの頃に戻れたような、空気も匂いもその笑う顔も、全てが懐かしい感じがした。


そんなことを緩んだ顔で考えていると、粋月くんが公園を指差す。


「そういえば、昔ここで星波と天体観測したよな。懐かしい。」


「覚えてたの?」


「そりゃ~、あんなキレイな星空を忘れる方がおかしいって。」


そう言って、粋月くんは人差し指で空をなぞるように動かす。


前もこんなことしてたっけ。


体格は変わっても、こういうのは変わらないのね。


それから私たちは、あの夏の夜の事を話し始めた。


今まで話してなかったなんて嘘かのように、ちゃんと会話が出来ている。


「それで始業式に流星群を自慢したら、ほとんどのヤツが見てて!」


「そうそう!あれは恥ずかしかったよね…ってあれ?今何時?」


時間を見たら、いつの間にか30分も話していた。

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