メテオ
「では、プリントを配布したら終わりです。危ないところには行かないように、気をつけて過ごしてくださいね。」


先生がそう言うと、皆とても生き生きとした顔で返事をし、長かった1学期が終わった。


「…な…、星波(せな)。」


帰り道、誰かに呼ばれて振り返ると、授業で観察しているアサガオを持った男子が立っていた。


アサガオのせいで顔がよく見えない。


「俺だって!」


「あ、粋月(いつき)くん!」


アサガオを地面に置いて、少しふてくされているのは、同級生の粋月くんだった。


粋月くんの背中には、変形するくらいパンパンのランドセルを背負っていて、それに無理矢理リコーダーをさしている。


ランドセルが可哀想だなと思いながら、話を続けた。


「どうしたの?」


「来週の木曜日って、ヒマ?」


急に言われて驚く私と、ニッと白い歯を見せる粋月くん。


急になんだろう?


「木曜日は花ちゃんたちとプールに行く約束をしてるの。」

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