メテオ
「じゃあ、夜は?」


「よ、夜!?遅くまで遊んだらお母さんに怒られちゃうからダメだよ!」


私が大きく手で罰じるしを作ると、粋月くんは全力で首を横に振った。


「ちっげーよ!天体観測!さっき先生言ってたじゃん!!」


宿題ならお母さんも怒らないけど、それでも驚いた。


だって、特別仲良しとかじゃなかったから。


朝学校に着いたらあいさつをして、少し話をするかしないかくらいの仲。


だから、私を誘うなんて思いもしなかった。


「いいけど、どうして?健ちゃんたちと見ればいいのに。」


「え?だって、健の家遠いじゃんか。だったら家が近いヤツと一緒に見て当然だろ?」


まるで当たり前かのように言われて、私も思わず首を縦に振ってしまった。


「じゃあ、決まり!来週の木曜、8時に仲良し公園集合な!」


それだけを言うと、粋月くんはまたアサガオを持ち、走って行ってしまった。


しばらくボーッと立ったまま動けないでいると、段々夏を思い出してきた。


「暑いや。」


そう言いながら服の袖で、額についた汗を拭う。


ポツンと残された私が、台風みたいと言ったことは、多分彼は知らない。

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