メテオ
「実は父さんから聞いたんだ!今日は流星群が見られるんだって!!」


りゅうせいぐん?


聞いたことあるような気がするけど、よくわからない。


「流星群ってなに?」


「流れ星が沢山流れるってことらしい!」


粋月くんは上を見上げながら、空をなぞるように人差し指を動かす。


流れ星なんて、本やテレビでしか見たことない。


そんな流れ星が沢山流れるなんて、これなら長いお願い事でも叶いそう。


お願い事考えなきゃ!


そんな風に思っていると、突然、粋月くんがこっちを向いた。


「今、見た!?」


「何を?」


「さっき流れ星…が…。」


粋月くんが指さす方向を見ると、今までで見たことのない光景が広がっていた。


目の前には、沢山のキレイな星と、沢山の線。


私は願い事をすることすら、忘れていた。


粋月くんも、首にぶら下げている双眼鏡のことは、忘れているみたい。


まるで、童話の中の主人公になったような不思議な感覚。


2人とも、目を見開いて、ただその光景を眺めていた。

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