きっと、もっと、知りたい。








「ごめんユズ、用事があるから先に帰るね!」

「わかった!」



慌てて教室を出て行く友達を見送って、出し忘れていた課題のノートを職員室に出してから帰ったら、電車がいつもより遅い時間になってしまった。


この時間じゃ、ユッキーには会えないかな。

少し残念に思いながら、電車に乗る。



空いている席に座っていると、次の駅に止まって、ドアが開いて。

入ってきたのは、珍しく1人のユッキーだった。


彼は、私の隣の空いていた席に座った。




「っ…」


肩がトンと触れて、一瞬で身体中が熱くなる。


ずっと見てた人が。
憧れてた人が、こんなに近くにいる。


緊張して、息が詰まりそうで、話しかける勇気なんてやっぱりなくて。

心臓が、うるさい。



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