つまり君を
つまり君を


 寒くなったから、冬服でも買わないとならないか。

 そんなようなことをぼんやりと、新聞を目で追っていきながら思っていた。

 新聞に出てくる文字も写真も、どれもこれも不吉なにおいがした。せっかく家ではテレビをほとんど切っているのにここでこう、暗いものばかりだと気が滅入る。



「で」



 視線を感じて、私は新聞から顔をあげた。目の前には雑誌を広げている灘元明義かいた。


 確認するが、図書室にはほかにも空いている机がたくさんある。大きなテーブルが並んでいるし、しきりのついた個人用スペースもある。それなのにどうして向かいに座るのか。特等席なのだろうかとも考えたが、だからもいってここは図書室。
関係ない。



「何かいいたいことでもあるの?」



 さっきはから意味深に見てきやがって。見世物でもなんでもないんだが。




「言っただろ」
「なにを」
「好きなようにすればって」
「だからといって」



 ここまでされるとは思ってない。

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