つまり君を
灘元明義は、この大学の中ではつわものに入ると思う。あの地獄としか思えないある講義の暗記もののテストを、第一回でみごとに合格し、それでいてその先生の試験で八十点以上はとるのだから、本当に同い年なのかと思う。まあ、単に私が馬鹿なだけなのかもしれないか。
そんなつわものと、地味な学生生活をしている私。大きな接点があるはずもなく。はじめはまったくもって関係ない他人状態だった。
―――何故こうなった。
大学には教養科目というものが存在する。その中でも必修となっている科目があり、その指定された座席のとなりが、灘元明義だった。
名前から古風だと私はいつだったが本人に言ったことがある。多分、隣同士で自己紹介しろ的な時だったと思う。私が古風な云々というと「じいちゃんがつけた」とかなんとかいっていた。
それからだ。
その必修で話すようになって、普段でも会えば話すようになったのは。
別に私からじゃなく、向こうが「弥生」と声をかけてくるのだ。それも頻繁に。
理由を訪ねても、だめか?といわれるとダメとはいえず、好きにしていいと私は言ったのだ。別に嫌いではないし近づいてらやばそうにも見えないから。