職場恋愛
「そうか」


昨日あったことを話し終えるとカメラの映像を止めた國分さん。


なんなのこの緊張感。
立っているだけの私はそわそわしてしまう。


「荒木」


「は、はい…」

いつも「お前」呼びなのにこんな時だけちゃんと名字で呼ぶ…。

とうとうクビ…?
周りとぶつかりまくって迷惑だから消えろとかそんな感じ?


「家電やめるか」


「…え…?」


家電をやめる?
それはつまり?


「寺内代理に提案された。部署を変えてみるのも1つの手だって」


「え……っと……」


「職場恋愛は別に構わないが相手は逢坂なんだろ。俺にだって周りの反応くらい想像できる」


國分さんって普通に話すこともできるんだ。
普段口が悪いからそれが國分さんの普通なんだと思ってた。


「これ以上家電から人がいなくなっても困るから携帯の新人と代える手もある。携帯は仲がいいことで有名だけど、それに比べてうちは常にギスギスしてる。島田と逢坂が来てからはそんなこともなかったが。
荒木にも携帯が合ってるんじゃないか?」



私の恋愛事情で携帯コーナーの人たちに迷惑をかけるのはいかがなものか。


それに……。
先輩からのいびりはなくなっても…航と一緒に働けなくなるのは嫌だな…。
お手本にしたいところがたくさんあるのに、まだなにも吸収できてない。


「まぁとりあえず今から体験して来い」


「えっ、今からですか?」


「寺内代理はしばらくいるけど、最初のうちは家電から離れないだろうし、あっちには山野っていうクソみたいなリーダーとその下で働いてるみたいな高木っていうクソみたいなマネージャーしかいないから、家電よりはやりやすいだろう」


クソみたいなリーダー…。
クソみたいなマネージャー…。

山野さんって昨日岩木さんに指示を出してた人だよね。
しっかりしてそうだったけどな。


「この件については山野には伝わってるから問題ない。とりあえず行って来い」
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