職場恋愛

方法

「まぁあの人は前まで責任者だったけど落ちた人だからねぇ。マネージャーって言うと超怖い顔で睨まれるから、新卒ちゃんは知らなくて当然っちゃ当然かな〜」


高木マネージャーがへなへなと教えてくれた衝撃事実。

落ちた人…。


「だからほら、監視がついたでしょ」

今度は山野さんがたい焼きを食べながら言う。

「監視…?」


「寺内さん。この前こうちゃんに八つ当たりした件で本社から相当警戒されてるんだよ」


あ……そうなんだ。だから家電からは離れないだろうって…。
國分さん自分で分かってるんだ。


「暴力なんて傷害事件だからねぇ」

「それに比べてうちのマネージャーはこんなだから」

へなへなマネージャーを指差して笑うつり目さん。

「その分山野くんがしっかりしてるからいいんだよ〜」

それを全然気にしていない様子の高木マネージャー。

家電と携帯のこの差はすごいな…。


「あ、荒木さん油断しないでね、この山野くん、前に國分マネージャーと喧嘩したことあるくらい気が強くて口が達者だからね」


「高木ちゃんビビらせないで。俺はあの人とは違うから」


「分かってるよ〜。ちゃんとした人だから大丈夫ですよ、荒木さん」


「下の名前なんていうの?」


急に下の名前を聞いてくる山野さん。


「あっ、結です」


「じゃ、ゆーちゃんね。やっべ、休憩終わってた。高木ちゃん言ってよ」


山野さんは勝手にあだ名を決めていそいそと片付けを始めた。
ゆーちゃんのゆーは一定の音で荒木よりも呼びやすそう。

「はいつり目、ゆーちゃん行くよ」

つり目さんのあだ名はつり目なんだ。
ちょっと面白い。
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