職場恋愛
side 結


退勤後、携帯の休憩室でりんちゃんさんとつり目さんと話していたら、館内放送で呼ばれて何事かとドキドキしながら事務所に入ったら、國分さんから信じられないことを聞かされた。


「9時過ぎに逢坂が緊急搬送されたんだが、脳震盪を起こして今も意識がない。上がりだろ?病院まで送る」


「え……」


なんで…。
脳震盪。

今も意識がないって、なんで?
そんなに強く頭を打ったの?

どこかから落ちたとか?
物が落ちてきたとか?

なんで?なんでなの?



パニックになりながら國分さんの車に乗せてもらい、病院に連れて行ってもらった。


國分さんと別れて1人で部屋に入ると航の家族がいた。
両親と、多分妹さん。


「こんばんは。あなたが結さん?」


お母さまに声をかけられて小さな声で「はい」と返事をした。


「よく聞いてます。航とお付き合いしてくれてるみたいで。どうもありがとう」


「あ、いえ……」


航の口の端、赤くなってる。


「…この子、昔から周りに良く思われない子でね。会社の人と喧嘩になってしまったそうなの」


会社の人と、喧嘩。
航はそんな人じゃない。


「喧嘩両成敗っていうじゃない?相手の方も反省してるみたいだから、どうか、受け止めてくれないかしら」


お母さまはそう言うけど、でも。


「多分それ、間違ってます。航…さんは喧嘩とかしない人です。それに、会社では人気者ですし、喧嘩なんて、絶対ありえないです。相手の人って誰ですか?教えてください」



若干睨んでしまってすぐに直したけど、感じ悪いと思われたかな。



「ごめんなさい。それは絶対に言わないでほしいと國分さんに言われているの。ごめんね」


國分さん、なんで?
絶対一方的にやられただけでしょ。
最近の國分さんはちょっと優しいと思ってたけど、どうやら違ったらしい。

やっぱり嫌いだ。
大っ嫌い。
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