職場恋愛



航パパさんの運転する車に乗り込んで、助手席に航ママさんと後部座席は左からゆずはちゃん、私、航で座った。



「俺もこれ超好き。いつか大人買いするのが夢」


みんな揃ってパパさんに買ってもらった梅味のグミを開ける。


「箱買いしちゃえ!!」


1粒口に放り込めば酸味と旨味が口いっぱいに広がる。
この絶妙な酸っぱさがクセになって止まらない。

2粒目を口に入れたところで…。


「あー!」


ゆずはちゃんが急に大きな声を出して少し驚く。


「…もうなくなっちゃった」


続けて言った言葉にかなり驚いた私。


まだ封を開けて数分しか経っていないはずの梅味のグミがもうなくなったと言うのだ。


私や航はまだ2粒くらいしか食べてないからたくさん残っている。


「3個食べしたらこんなに早くなくなるなんて…」


小さな声で後悔の念を呟くゆずはちゃん。

3個食べ…。上級者だ。



「ちゃんと噛んでる?」


私を避けてゆずはちゃんの顔を覗き込む航は心配そうな顔をしていた。


「舐めて噛んで舐めて飲み込んでる。あと10個くらい買えばよかった」


噛むの少ないけど大丈夫!?
結構ハードなグミだから噛まないと詰まっちゃうよ!?


「はい、味わって食べて」


私が心配していると、航が右から手を伸ばしてゆずはちゃんに袋ごと渡した。


「ありがとう。2個もらっていい?」


3個食べを改め、2個食べに路線変更するのだろうか。
何個食べでもいいけど、とにかくちゃんと噛んで…。


「全部食べていいよ」


航の優しい言葉にゆずはちゃんの顔がパアッと明るくなった。

家族にも優しくできるって素晴らしすぎか。
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