職場恋愛
やばい。これはやらかしてしまったらしい…？


「こうしてる間にも先方は商品を探して回ってんだよ。早く持って行けこのクズ！」


いやいや、だから無理でしょ。
どうせ電車賃もくれないんでしょ？


「何してんだよ、文句あんのか？持って行っても聞いてやらねぇからグズグズしてねーでさっさと行け！！」


今日1の怒鳴り声で追い出された私は途方に暮れる。

まじで持って行くの？
この足で？


本当にふざけてる。
無理に決まってるじゃんよ。



事務所を出てトボトボ歩いていると、横から声をかけられた。


「荒木さん？大丈夫だった？」


「あ…高木さん…」


「僕もこれから怒られに行くんだけど、怖いよね〜」


高木さんに、相談してみようか。


「あの…」


今あったことをなるべく早口で説明してどうにかできないかと助けを求めた。

この頼りないマネージャーに頼んでどうにかなるとは到底思えないけど…。


「荒木さん、ちょっと待ってね。山野くん、取れますか？」


話の途中なのにインカムで山野さんを呼び出す高木さん。
先に言わなきゃいけなかったことでもあるのかな？


「携帯の事務所に来てください」


連絡が取れたようでニコッと笑う高木さん。
嬉しかったのかな？


「荒木さん、事務所に行きましょう」


え？私も？


なんだろう、話の途中で私が何かやらかしたことでも思い出したんだろうか。
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