職場恋愛
お店に戻って店長代理にあり得ないほど怒鳴られたのは言うまでもなく…。

クローズまで帰さないと宣言されてしまった。

残業だなんて悲しすぎる。


怒鳴られてる最中に我慢できずに泣いてしまった私に15分休憩をくれたのは國分さんだった。

実は、事務所には國分さんもいて怒鳴られてるところを真横で見られていたのだ。

気まずかったけど仕方ないと言い聞かせて耐えていたら見兼ねて休憩をくれた。



家電の休憩室には行きたくないと思って迷わず携帯の休憩室に入った。


そこでは同じく休憩中らしい山野さんと、元の予定通り遅番で入ることにしたらしいりんちゃんさんが楽しそうに話していた。



「ちょっと!ゆーちゃん!!何その顔!」


私を見つけたりんちゃんさんはガタンと席を立って私の顔をがっちり包んだ。


「信じらんない。女の子泣かすって何。あんのクソオヤジ!くたばれ!」


「口わっる。引くわー、いやまじ引くわー」


私の顔を見て店長代理に文句を言うりんちゃんさんと、りんちゃんさんの口の悪さに苦笑いする山野さん。


「あんたに言われたくない!!ちょっとリーダーの力で引き戻してよ。もう家電やらせたくない」


「じゃあお前代わりに行く?」


「…っ…そ、それは…」


「口だけか。薄っぺらいな、見た目も中身も」

「見た目が薄っぺらいのはモデル体型って言ってくれる?」


「ちげぇよ…ここだよ、こーこ」


山野さんが自分の胸をバシバシ叩いた。

あぁ、貧乳ってことね。


「あんた!もうバカ!!浮気してやる!!」


「ぶふっ…」


楽しそうな2人を見ていたら笑えて来た。
失礼だけど、笑っちゃう。


「ゆーちゃーん?笑った?今笑ったよね?あたしの胸がないことがそんなにおかしいですか!!!2人してバカにして。嫌い!」


「りんちゃんさん、ありがとうございます。私大丈夫です。自分で立候補してヘルプに行ってるので、今日はちゃんとやります」


「…そう?あたしチキンだから代われないけど…、無理はしないで」


「ありがとうございます。…私、りんちゃんさんのこと大好きです。こんな優しくて可愛い先輩、家電には絶対いません」


「もーーう!!ゆーちゃんあたしも大好きだよーーーう!!!

あんたのことは嫌いだからね!浮気するからね!後悔しても知らないからね!!!」


私に抱きついてくれるりんちゃんさんは顔だけ山野さんに向けて浮気すると予告していた。


それを全く気にしていないらしい山野さん。
なんだかんだ仲良いんだな…。
素直に羨ましい。
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