職場恋愛
side 航


昨日の深夜、國分さんから電話が来て荒木さんのマネージャーをやるように言われた。

マネージャーは全然いいんだけど、問題は電話をかける時間よ。
AM3:42って。
もはや朝。

『悪ぃ寝てたか』

じゃないから。
普通寝てるから。

そこから長い長い愚痴に付き合わされて結局1時間くらい通話したし。

おかげさまで寝不足すぎてマネージャー務まるか不安すぎたし。

なんとか終わってよかったけどもう眠い。
早く帰らせてくれーー!


「荒木どうだ」

呼び出されてショゲていたけどこれも仕事のうち。
頑張れ俺!!

事務所でなにやら書類を眺めながら聞いてくる國分さんに淡々と答える。

「普通です。なんであんなにミスしていたのか不思議なくらい。可もなく不可もなくって感じでした」

「お前明日休みか」

「そうですね」

「シフト作ったの誰だよ下手くそだな」

シフトを見てたのか。

「なんなら俺出ますけど…」

「いい。お前また寝てないんだろ。さっさと帰れ」

「はい…。お疲れ様です」

呼び出しといてさっさと帰れって…。
優しさなのかなんなのか。


さっさと帰ろ…。




俺の家は電車で4駅と割と近い。
残業してもすぐ帰れるから楽だ。

まぁでも電車に乗るとあの心地よい揺れのおかげですぐ眠りに落ちてしまうから寝過ごす確率が半端じゃないんだけどね……。


………………。


っておい!また寝過ごしてんじゃんかよ!!

いつ寝たんだ…。


しかもかなり寝てたらしい。
くっそぅ…。

反対に回らなきゃ…。

大あくびをしながら階段を登っていると携帯が無機質な音を立てた。


國分さんから電話だ。


「はい」

「明日の夜会社の飲み会って言ったら来るか?」

拒否権ないやつ!

「……俺邪魔じゃないですか?」

「島田も来る。各店舗の責任者と店長とリーダーの集まりだ。どういうことか分かるだろ」

はいはい。拒否権ないですね。


「是非行かせてください」

「また連絡する」

「はい、お疲れ様です」


まじかああああ。
偉い人たちと飲み会…………。
頑張れ、俺。
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