職場恋愛
side 結


今日は逢坂さんがいない。
それはつまりやばいことだ。

今まで私の数々の失態の受け皿になってくれていたのが逢坂さんで、他にもちらほら迷惑をかけた人はいるけど…。

何より今日は同期メンバーがすごく多い!

嫌だ………。

誰1人として仲が良い人っていないし、みんな私より仕事ができるから。

嫌すぎる…。


問題を起こさないように気を付けなきゃ。


入社してロッカーを開けて私は唖然とした。

「え…」

何これ。
昨日はなかったソレに嫌なものを感じた。


ハンガーでつっている制服にケチャップのような赤いものがたくさん付いていて、とても着られる状態ではない。

待って待って。

これってもしかして俗に言ういじめってやつですか?
信じられない。

誰がこんな幼稚なことするの?
本当にありえない。


これは誰にどう説明すべき?

國分さんは…怒る。
岩木さんは…突き放す。
島田さんは…笑う…だろうな。

私喋れる人3人しかいないじゃん!

最悪なんだけど。
本当になんなの。

なんで逢坂さんがいない日に限って。


出勤時間まで15分ないし。
最悪最悪最悪!


急いで事務所に向かって怒られるの覚悟で國分さんに報告しようとした。

けど!いない!
いつも事務所にいるくせになんでこんな時だけ!


あー、もう!


あ!あそこにいるかもしれない!

急いで階段を駆け下りてドアを開けると、、、。

いたーーー!!!!


「國分さん!」

「あ?」

喫煙所で一服している國分さんに駆け寄る。
相変わらず感じ悪い態度で煙を吹きかけてくるこの人はやっぱり好きになれない。


「あの、制服が………」

制服が…なんて言う?
ケチャップまみれで?
いや、そんなこと言ったらいじめられてるって思われる。
それだけは私のプライドが許さない。


「んだよ」

「えっと……制服が…………いや、制服忘れちゃったんですけど、替えってありませんか?」

「はぁ?ねーよ人数分しか。取りに帰れ」

「行って帰ってきたら2時間かかっちゃいます」

「自己責任だろ」

私のせいじゃないし!!
取りに帰ったって替えのやつは洗濯したばっかだから乾いてないし!

「…………………」

どうしよう、本当のことを言ったらどうにかしてくれるのかな…。

いや、でもやっぱりそれは…。
でも時間ないし…。


「あ、悪ぃ寝てたか?」

ん?
私と喋ってるのに電話を始めた!?
非常識すぎる!!


「悪い悪い。お前今から来れるか?」

げっ!
私が制服持ってないからって代わりに誰か呼んでる。


「いや、制服だけでいい。荒木に貸してやってくれ」

って…え?

「おー、休日に悪いな。助かる」

誰に電話したの!?!?

「家が近い逢坂に頼んだからそれまで裏で在庫チェックでもしてろ」

「あああ、ありがとうございます!!!」


良いとこあるじゃん國分さん!
少しだけ見直したよ!

でもまた逢坂さんにご迷惑を………。


どっちにしろ最悪だ。
< 23 / 543 >

この作品をシェア

pagetop