職場恋愛
翌日、8月12日の早朝5時。
誰かの携帯が着信音を鳴らしていて目が覚めた。
「…もしもし」
私より一足早く起きていたらしい航が通話を始めた。
こんな早くに誰よ。
「ん。あ、そうなの。あらら。早番?ん、いや、それはね。全然。うん、大丈夫。ありがと。はいよ」
「誰?」
「島田。今日出れないかって」
え?
「まさか出ないよね?」
「出るよ」
え?
何を言ってらっしゃるの?
今日の休み逃したら20連勤にならない?
「え、なんで?島田さんが休むの?」
「いや、島田はいる。休むのは真鍋さん。体調悪いって連絡きたんだって」
絶対、嘘。
一緒にいるに決まってる。
「島田さんだけでも平気でしょ」
側から見れば私の言葉はただの性格悪い女だ。
「いやぁ、どうかな。最近夏休みで忙しいから」
絶対ズル休みだよ。
少しは疑わないとだめ。
「だめだよ!航、すごい連勤になるじゃん」
島田さんも知ってるくせに。
どんどん嫌いになっていく。
「大丈夫だよ。まだ元気だから」
このお人好しは。
「だめって言ったらだめ!!」
「心配してくれてありがとう。店長代理に相談してみるから、許して?」
困ったように笑うけど、笑い事じゃないから。
なんで航にお願いするの?
やっぱり島田さんも利用するためにつるんでたんだ。
最低。嫌い。大っ嫌い。
他にも家電で暇な人いるでしょ。
頭がおかしい。
奴はクレイジーだ。