職場恋愛
島田さんはいつも、何をしてても楽しそうな人。

そうじゃないときもあるけど、哀しいわけでもなく怒ってるわけでもなく、感情が分かりにくい人だった。


喜怒哀楽の喜と楽しかないような。

人生楽しそうだなーって思ってた。


だけど、今ここにいる島田さんは確かに怒っていて、それがちゃんと分かる。


「いい子だと思ってたのに残念」


口を開いたのは私の隣にいる山野さんだ。
島田さんと同じポーズで軽くバカにしてる感じ。


「なんで喋んないの?俺にムカついてんの?騙された自分が恥ずかしいの?」


無表情で香織に話しかける島田さん。


ボロボロと泣き始めてしまってほんの少しだけ心が痛い。
ほんの少しだけね。


「泣いても許さないって。俺の大事な逢坂を脳しんとうにさせてさあ。俺の大事な逢坂の、大事な荒木ちゃん陥れようとしてさあ。反省してんの?
しかもみんな忘れてるかもだけど、その騒ぎん時、誰も来ないから俺1人で家電中走り回ったんだからね?」


一歩間違えれば誤解を招く発言だけど、同期として大事なんだよね?


島田さんが1人でやってたのは正直言って忘れてた。
私は家電じゃないけどさ。



「反省の色が見えなければ今すぐにでも店長代理に報告するけど」


山野さんがイライラした様子で非情なことを言ったら香織は顔色を変えた。

そりゃそうだね。
そんなこと知れたら土下座じゃ済まされない。

山野さんは本当に言っちゃうだろうから変なことは言えない、はず。
< 283 / 543 >

この作品をシェア

pagetop