職場恋愛
旅館の中の食事会場に着いて私の目はとてもとても輝いた。



美味しそうなお肉やお刺身、デザートがたっくさん並んでいる。
好きなものを好きなだけ食べられるなんて、こんな贅沢しちゃっていいの!?



「みんな取っておいで〜」


指定された席に6人、全員座ってドリンクをオーダーし終えると、最年長のつり目さんが『先に行きな』とお兄さん感を出してくれた。


「ありがとうございます」

ペコっと頭を下げて、みんなで列に並ぶ。



香川県だからなのかな、うどんコーナーもあるみたい。絶対食べよ。


「あっ!あれ、骨付鳥じゃない!?ほら、そこで切ってるやつ!」


りんちゃんさんが指差した所では、確かに骨のついた照り焼きっぽい鳥さんが細かく切られていた。

なにあれ、おいしそう。



「バイキングで食べれるなんて最高じゃない?赤字になるくらい食べてやる」


意気込んでるけど、多分それは不可能ですよ…。


「骨付鳥もいいけど、あっちに馬刺しあったぞ」


「えっ………………」


山野さんに馬刺し情報をもらったりんちゃんさんは、一瞬で表情をなくして列から外れた。


え、どうしたの?


「りんちゃん顔やばくね?馬刺しがどうしたの?」


「あいつ、居酒屋行ったら馬刺し5人前くらい食べるんだよ。狂ってんだろ」


あぁ、好きすぎて嬉しいのと驚いたのであんな顔になったんだね。


「逢坂は?なに食うの?」


「んー、うどん…?」


「…だけ?」


「いや、頑張る」


「え?」


「結、俺もやしじゃないからね」


「へっ!?」


「まだ根に持ってんのか…たけのこの細切り…」

島田さん!!かわいそうだからやめて!!!


「なんとでも言え…。そのうち見返してやるからな。ムッキムキのバッキバキで背負い投げしてやる」


「いや、絶対無…」


「島田さん!!!いじめないでください!」


「あっごめん」
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