職場恋愛
side つり目



「うわっ!グロい!」


俺様の裸体を直視したしまがでかい声を出した。

多分、足の傷のことだな。


「この前事故やったじゃん。そん時の」

「バイクだっけ?」


やたら逞しい体つきの山ちゃんも話に参加する。


「そーそー。トラックが突っ込んできてさ」

「よく生きてたね」


ほんとだよ。死んだかと思ったよ。


「俺も気を付けよ…」

「そっか、しまもバイクか。本当に気を付けた方がいいぞ。横から突っ込んで来やがるから」


まぁ幸い、腕の骨折と足の怪我だけで済んだけど。


「それでも安全運転にならないのが不思議」


ぐさっと刺さる言葉を投げるのは山ちゃんだ。

だってそれとこれとは別じゃーん。


「安全運転だよ。りんよりは」


上には上がいる。と俺は思う。




「お前ほっそいなー。ジム行こうぜ」

「つり目も細い。身長高いから余計細く見える」


こうちゃんの細さだけ指摘されてればよかったのに、俺の細さまでバレた。

俺は185センチあって、ガタイがそこそこだから服着てれば平均くらいなんだけど、脱いじゃえばもう…。

それに比べてこうちゃんなんかは170センチくらいで小柄な印象だから脱いでも脱がなくても細いと分かる。

今回の旅行中は常に存在さえも細い。
家電にいたら存在感バリバリなんだけどな。

携帯は個性が強いからかね。
しまもいるし。



「つり目は筋肉あるじゃん。こうちゃんは?」


山ちゃんが楽しみだした。
こういうとこ誰かさんとそっくり。


「…ありますよ。決してもやしではありません」


リーダーvsリーダーの睨み合いが面白すぎる。


「女子はなんでこんなひょろっないのが好きなんだろうな〜」

「いや、それはしまの性格に問題がある」

「うぇっ!?俺性格悪い!?」


話がコロコロ変わるな。


性格悪いも何も、山ちゃんとしまはそっくりじゃん。
何考えてるか分かんなくて、やんちゃで、裏が全く見えないような。

山ちゃんは多少見えてきたけど、しまは本当に分からん。

一見分かりやすそうなのに、実際は何1つ分からないなんて、もはや才能としか。


腹黒ってこういう奴らのことを言うんだと思うんだ。

ただ、山ちゃんはリーダーに向いてますって顔に出してるけど、しまにはそれがない。
多分、リーダーをやれって言われたらできるんだろうけど、やりたくないらしいな。


って。
俺、結構2人のこと分かってんじゃん。俺、やるぅ。
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