職場恋愛



"君ってさ、どうしてリーダーなの?"



"引っ張る力もないくせに出しゃばらないでもらってもいいかな?"



"それで仕事してるつもり?"



"何のためにここに来てるの?"



"君がやってることは無意味だよ"



"誰のためになるって言うのさ、そんな、くだらないママゴトなんて"


"死にたいの?"



"可哀想だねえ、誰からも必要とされないリーダー"


"死になよ、今、ここで"





















俺は見たんだ。


いつもへなへなしてた高木ちゃんが、事務所の隅で当時リーダーだった藤沢さんを追い込んでいたところを。


俺しか見てないから。
俺が見てしまったから、その事実を隠すために俺がリーダーにならざるを得なかった。



他のやつらは今でも藤沢さんは寺内に追い込まれて鬱になったと思ってる。

でも、事実は違った。

寺内はほんのきっかけを作っただけだった。
そこに漬け込んだのが高木ちゃんだっただけで、寺内はほぼ何もしていない。


けれど、寺内はそうなるように仕向けた張本人。

高木ちゃんの本性を知ってるから。


だから近付きもしないし直接指示することもないけど、静かに操って人をやめさせてきた。




昨日の森ちゃんの電話が、今回の始まりの合図。
寺内が携帯に立ち入ったのも高木ちゃんが遅刻したのも、高木ちゃんの様子が少し変だったのも、全部前兆だった。




俺がその場にいればこうはならなかったのかもしれない。

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