職場恋愛
おいりソフトを食べたところに戻ってしばらくしても航たちはまだ見えない。

2人でイチャイチャしてんじゃないでしょうね。
そりゃあ、りんちゃんさんは綺麗で可愛らしいけどさ。
もっとバレないようにしてほしいよね。

これだからモテ男は。



「ゆーちゃん、足ちょっと切れてる。痛くね?」


「へ?どこですか?全然痛くないです」


つり目さんが私のふくらはぎを指差した。
短パン履いてるからさっき転んだ時に切れちゃったらしい。


「これくらい平気ですよ。ほっとけば治ります」


「えー、ばい菌入るよ」


背中にしょってた小さなバッグを掻き回して何かを探すつり目さん。

こんな小さなバッグに何が入っているんだろうか。



「足あげて」


つり目さんに言われた通り、後ろに足をあげる。

バッグから出てきたのは小さなボトルに入った消毒液と絆創膏。

なんて準備がいいんでしょう。


「ちょっとしみるかも」


私の足元にしゃがんで上目遣いっぽくなりながらも気遣ってくれる。


「片足立ち辛いでしょ、肩つかまっていいから」


無表情だけど私の様子を伺ってくれる優しさが心にしみる。
なんて上手いこと言ってる場合じゃないわ。



シュッシュッ


ほんのちょっとだけピリッとしたけど痛いってほどではなかった。


「ありがとうございます。お母さんみたいですね」


「そこはせめてお父さんにして」


絆創膏を貼り終えて立ち上がったつり目さんにお礼を言って、思ったことをそのまま口に出したら突っ込まれた。
やばい、面白い。
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